青山スパイラルの裏手に建築家 妹島和世さん設計の照明専門ショールーム「ルーチェ・トーヨーキッチンスタイル」ができたと聞いて覗いてきた。夜行くと漏れだす光が綺麗なのでぜひ立ち寄って欲しいポイント。
南青山に照明専門のショールーム-建築・インテリア設計は妹島和世さん
店舗面積は地下1階~2階の3フロアで、計136平方メートル。建築・インテリア設計は建築家の妹島和世さんが担当。建物は高さ9メートルほどの四角形。外壁四周はガラス張りで、その外側をアルミの「エキスパンドメタル」で覆っている。店内は、3層それぞれを「違う印象」に仕上げ、1階は素材や形状などさまざまなスタイルの照明をガラス際に並べたほか、2階はクリスタルやベネチアンガラスなどを使った照明を中央に集め展示するなどした。地階には照明に加え一部雑貨も扱う。
照明専門ショールーム「ルーチェ・トーヨーキッチンスタイル」
照明のショールームに表参道Diorのような外壁と内部を曖昧にするようなデザインができる妹島和世さんというのはいい組み合わせだな、と。夜は展示品の照明の光が漏れだして建物自体が一個の照明となるというメタ構造。
「ルーチェ・トーヨーキッチンスタイル」を運営する「トーヨーキッチン&リビング」社の公式サイトで妹島和世さんのコメントを見られる。
■建物コンセプト
建物は高さ9mほどの四角いシンプルなボリュームで、ハイサイドライトのある半地下と、天井高のある地上2階という構成です。外壁は四周をガラスとし、その外側をアルミのエキスパンドメタルで覆っています。ガラス割と合わせた位置に構造体であるマリオン状の鉄骨無垢の柱を設け、必要なところにブレースを入れて、透明感のある建物を出来るだけクリアーに表現するよう努めました。 エキスパンドメタルのスクリーンは、日中は木漏れ日のなかのような明るいインテリアをつくりだし、夜になると光を外部に洩らし周囲を艶やかに照らし出します。内外の風景は、エキスパンドメタルを通してやわらかく見え隠れします。 街並みのなかにある様は、エキスパンドメタルと呼応して建物自体がさまざまな現れ方をしてみせます。かすみがかっている時もあれば、くっきりと白々しくそびえ立っている時もあり、さっきまで曇り空に溶け込んでいたかと思ったら、雲の合間から差し込んだ陽光を受けて向こうが見えるくらい透き通ったりします。 ここでは、そんな明るい透明のような不透明のような建物を作ろうとしました。
外壁に寄ってみた所。
展示されている照明
地下一階地上二階を貫く螺旋階段
建築家 妹島和世さんについて
妹島和世さんはプリツカー賞、日本建築学会賞、吉岡賞など権威ある賞を受賞し、西沢立衛氏とのユニット「SANAA(サナア)」でも活躍している。
SANAAのDior表参道
夜もセクシーなビル。@hara19jp も大好き。ファッションズ・ナイト・アウトで中に入った時は感慨深かったですね。
ご本人から設計の意図が語られているが引用するには長いので続きはリンク先のWEBで!
妹島
(中略)
私たちができることは、ストラクチャー、構造ですね、それとベーシックな設備のシステムと外観がどうなるかということでした。インテリアについてはディオールがインハウスでやるということでしたので、本来は外観とインテリアがきっちりわかれるような提案の方がそれぞれスムーズにデザインできたと思います。しかし、私たちは何とか外装デザインと内装デザインがわかれた状態ではないもの、内部と外部がそれぞれ影響を与え合うようなものをつくれないかと思い、四面ともガラスで、内部が見えてしまうようなものをつくりました。
おもてサンドさんでも建築の専門家から見たDiorについて語られている。
階によって透明度が違うアクリルカーテン!
透けるアクリルのカーテンは透明度が階によって違ってるんです。その手前にあるガラスはシール止めとし、野暮な縦枠の方建て(ほうだて。サッシの縦の骨組み桟のこと)がないカーテン・ウォールになってます。あの肌の色合いの美しい美脚を隠すシルクのレースみたい。計算された夜間照明に浮かぶヒラヒラは図面では表現できないわけで、設計者の感性の豊かさを感じちゃいますね。アクリルに光を当て、複雑な反射による妖艶な表情は、表参道の闇夜に建つ白亜の光塔となって存在感を主張してます。夜の大人の街、表参道にぴったりです。
妹島和世さんの旧hhstyleビル
2000年の完成だが元々10年限定の契約だったらしく2010年にhhstyleは外苑前へ移転している。その後キデイランド老朽化により取り壊し&新築ビル工事で店舗が必要になった関係で仮店舗として使用していた。キデイランドは海外を含めた観光客が立ち寄る名所であり、仮店舗ということで目立つ必要があったからか外壁にキャラクターが沢山貼られて建築だけ考えるとちょっと残念な感じになっていた。なお新築なったキデイランドの様子はこちら。
そういう訳で旧hhstyleビルと言った方が通りが良いこの建築だが詳しい説明はおもてサンドさんに譲る。
耐震壁がない?!それでも成立する全面ガラス張りビルの凄い秘密。
お店の前に立ってビルに対峙すると、端から端まで全てガラス張りです。全面ガラス張りと言うことは、地震時の横方向の耐震壁がないと言うことです。通常であれば、どっかしらに必ず壁があります。地震の時の、横方向の水平耐力を負担する壁が必ずあるモンなんです。ところがこのビルにはそれがないんです。と言うことは、地震時において横方向の震動で、この建物は必ず崩れることになります。
「ウソだろう」との印象は、これだと確実に構造計算上成立しない、ということの表れです。縦方向には、両脇に壁がありますからその壁の全部ないしは一部が耐震壁となっていて「ウソだろう」の印象外ですが、横方向がないんです。ブレースといって鉄筋や鉄骨を使っての筋交いもないんです。どうなってんだろう???
耐震壁がない?!それでも成立する全面ガラス張りビルの凄い秘密。